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『花おりおり』

「草花や木の名前を常識としてはどれくらい知っておけばよいのでしょうか。答えが出る問いではありませんが、『万葉集』4516首には163種類ほどの植物が歌われています。『万葉集』は名のわかる人だけでも470名近い人々が登場します。一方、平安時代の才女、紫式部は『源氏物語』で111種類の植物、清少納言は『枕草子』で138種類の植物を取り上げています。その2人を合せると164種類になります。偶然でしょうが信じがたいほど『万葉集』の植物の種類数と一致します。
 近代の例として、明治の文豪夏目漱石をあげましょう。その全集に262種の植物が顔を出します。そこには近世に渡来した欧米の外来植物が少なからず含まれているので古典とは単純に比較はできませんが、いずれにせよ200そこそこの植物で、味わいのある自然や生活が豊かに表現されているのです。」
――湯浅浩史『花おりおり 愛蔵版その二』(朝日出版社、2003)序文より




たしかに、明治期から昭和期にかけて名作と称される小説作品群には、驚くほど沢山の植物名が出てくる。
(最近読んだ中では『斜陽』や『細雪』がそう)
そしてその植物の、名前は聞いたことがあってもそれがどんな草花・木なのか殆どわからないということに危機感を抱いていた中で、偶然見つけたのがこの本。写真とそれに付随した短文で構成されている。

要するにこういった、上手く言えないけど「まとまりのない知識」(=一問一答的な知識=QMA的な知識)というものが、巡り巡って、創作において重層的に深みを生み出していくというのは非常に面白い。

実におおざっぱで不正確なまとめ方で申し訳なくなるけれど、「教養」・「実学」・「世俗」的な知識というものの混淆が、時代を超えて輝く作品を生み出す。それは小説に限らないだろうと思う。
その「圧倒的なごちゃまぜ」には、ただただ畏怖するばかりで、楽しい。

出来ることなら、ゆっくりでもいいからそういうものに近づいてみたいなぁと思う。
この本がその端緒になれば良い。

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No title

植物について圧倒的に無知であることは小説読んでると痛感します。

No title

つくづく昔の人はすごいと思いますね
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「本当の優しさ」「自分を好きになる」

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